2016年1月から3月までフジテレビ”ノイタミナ”枠で放送されたTVアニメ『僕だけがいない街』。「再上映(リバイバル)」と呼ばれるタイムリープ能力を持つ主人公・藤沼悟が、過去と現在を繋ぐ事件の真相に迫るサスペンス作品です。原作は三部けい先生による同名漫画で、「このマンガがすごい!2014」オトコ編15位、「マンガ大賞2014」第2位にランクインするなど、高い評価を得ていました。
アニメーション制作はA-1 Picturesが担当。監督は『ソードアート・オンライン』の伊藤智彦さん、シリーズ構成は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の岸本卓さん、音楽は梶浦由記さんと、実力派スタッフが集結しました。放送前から大きな話題を呼び、ノイタミナ枠らしい重厚な世界観とスリリングな展開で視聴者を魅了しましたね。
あらすじ
売れない漫画家・藤沼悟は、「再上映(リバイバル)」という特殊能力を持っています。これは、彼の周りで何か悪いことが起きる直前に発動し、少しだけ過去に戻ってしまうというもの。能力が発動しても大抵は悟にとって良い結果にはならず、不満を感じながらピザ屋のアルバイトをする日々を送っていました。
ある日、リバイバルの結果、児童を交通事故から救った悟は、代わりに自身を車にはねられてしまいます。入院中に見舞いに来た同僚の愛梨と親しくなり、上京してきた母・佐知子とアパートで暮らし始めます。しかし、佐知子は18年前の連続誘拐殺人事件の真犯人に気づき、悟に伝える前に殺されてしまうのです。
悟はリバイバルで佐知子の殺害を阻止しようと強く念じます。すると、1988年にまで遡るタイムリープが発生。小学校時代に戻った悟は、当時起きた連続誘拐殺人事件を阻止しようと奔走します。果たして悟は過去を変え、現在を救うことができるのでしょうか。
魅力的なキャラクターたち
本作には、個性豊かなキャラクターが数多く登場します。
主人公の藤沼悟は、タイムリープ能力に翻弄されながらも、過去と現在の悲劇を回避しようと懸命に戦う姿が印象的です。小学生時代と大人時代で異なる声優が演じている点にも注目ですね。満島真之介さんと土屋太鳳さんの熱演が記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。
ヒロインの雛月加代は、虐待を受けている孤独な少女。悟との出会いをきっかけに、少しずつ心を開いていく姿が丁寧に描かれています。また、もう一人のヒロインである片桐愛梨は、明るく正義感の強い女の子。悟の良き理解者として、彼を支え続けようとします。
他にも、悟の母親である佐知子や、18年前の事件で犯人と疑われたユウキさんなど、重要な役割を担う人物が次々と登場します。それぞれのキャラクターの心情や背景が緻密に描かれているため、感情移入しやすい作品と言えるでしょう。
過去の改変とサスペンス要素
本作の魅力の一つは、タイムリープによる過去改変が物語にどう影響していくのかという点です。悟は何度もタイムリープを繰り返しながら、少しずつ過去を変えていきます。しかし、その度に新たな問題が発生し、事態は思わぬ方向へ転がっていくことも。
また、18年前の連続誘拐殺人事件の犯人は誰なのか、というサスペンス要素も見逃せません。様々な人物に疑いの目が向けられる中、真犯人は最後まで分かりません。緻密に張り巡らされた伏線と、衝撃的な展開に、多くの視聴者が釘付けになりました。
音楽と主題歌
本作の音楽は、梶浦由記さんが担当しています。梶浦さんといえば、『ソードアート・オンライン』や『Fate/Zero』など、数々のアニメ作品で美しい音楽を生み出してきた作曲家。本作でも、繊細かつ壮大な楽曲が物語を彩り、作品の世界観に深みを与えています。
オープニングテーマはASIAN KUNG-FU GENERATIONの「Re:Re:」。疾走感あふれるメロディーと、過去をやり直すという歌詞が作品と見事にシンクロしています。エンディングテーマはさユりの「それは小さな光のような」。儚くも力強い歌声が、登場人物たちの心情を表現しているようでした。
アニメオリジナル展開
アニメ版は原作漫画が完結する前に放送が開始されたため、第十一話からはアニメオリジナルの展開となりました。原作とは異なる結末に、当時ネット上では様々な意見が飛び交っていたのも懐かしい思い出です。
アニメ版では、悟と犯人との対決がよりドラマティックに描かれています。また、原作では語られなかった犯人の過去や心情が掘り下げられており、アニメ版ならではの解釈を楽しむことができます。
『僕だけがいない街』は、タイムリープ、サスペンス、ヒューマンドラマなど、様々な要素が詰まった作品です。重厚なストーリーと魅力的なキャラクター、そして美しい音楽が、多くの人の心を掴みました。もしあなたが本作をまだ見たことがないなら、ぜひ一度視聴してみてはいかがでしょうか。
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