2016年は、インターネットの世界でも様々な言葉が生まれ、そして流行しました。これらの言葉は、その年の社会現象や人々の関心事を反映しており、後から振り返ると当時の空気感を鮮やかに蘇らせてくれます。今回は、そんな2016年のネット流行語の中から特に話題になった10個の言葉を選び、その背景や意味、そして当時の出来事と合わせてご紹介します。
PPAP/ペンパイナッポーアッポーペン
ピコ太郎によるこのキャッチーなフレーズは、まさに2016年を象徴する言葉の一つでしょう。アップテンポな音楽に合わせて「ペン」「パイナップル」「アップル」を組み合わせるというシンプルな内容ながら、その中毒性のあるリズムと独特のパフォーマンスは、瞬く間に世界中で大流行しました。YouTubeでの再生回数は驚異的な数字を記録し、多くの人が真似をするなど、社会現象とも言えるほどのムーブメントを巻き起こしたのです。このPPAPの大流行は、インターネットを通じて情報が瞬時に拡散する現代において、いかにシンプルなものが大きな影響力を持つかを示した好例と言えるでしょう。
ポケモンGO
2016年夏にリリースされたスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」は、AR(拡張現実)技術を活用し、現実世界でポケモンを捕まえるという斬新なゲーム性で、世界中で大ブームを巻き起こしました。街の至る所でスマートフォンを片手にポケモンを探す人々の姿が見られ、公園や観光地はポケモンGOプレイヤーで賑わいました。しかし、その一方で、歩きスマホによる事故や、立ち入り禁止区域への侵入といった問題も発生し、社会現象として様々な議論を呼んだのも事実です。このポケモンGOの流行は、AR技術の可能性を示すとともに、新しい技術が社会に与える影響について改めて考えさせられるきっかけとなりました。
保育園落ちた日本死ね
この言葉は、匿名のブログ記事で使われたことで広く知られるようになりました。保育園に入れない現状を嘆く切実な叫びは、多くの共感を呼び、待機児童問題への関心を高めるきっかけとなりました。この言葉が持つ強いインパクトは、賛否両論を巻き起こしましたが、社会問題への議論を喚起するという点において、大きな役割を果たしたと言えるでしょう。この出来事は、インターネットを通じた個人の声が、社会を動かす力を持つことを改めて認識させる出来事となりました。
センテンススプリング/文春砲
週刊文春が報じた数々のスクープ記事は、「文春砲」という言葉を生み出しました。特に、芸能人の不倫報道などで使われた「センテンススプリング」というフレーズは、大きな話題となりました。週刊文春の一連の報道は、メディアの役割やプライバシーの問題など、様々な議論を呼び起こし、社会に大きな影響を与えたと言えるでしょう。この「文春砲」は、マスメディアの影響力が依然として大きいことを示すとともに、インターネットを通じて情報が拡散し、大きな話題となる現代の情報伝達の特徴を象徴していると言えるでしょう。
神ってる
プロ野球・広島東洋カープの緒方孝市監督が、鈴木誠也選手の活躍を評して使った「神ってる」という言葉は、その年の流行語大賞にも選ばれました。驚異的な活躍を見せる選手を表現するのにぴったりのこの言葉は、野球ファンだけでなく、広く一般の人々にも使われるようになりました。スポーツ界から生まれたこの言葉は、ポジティブな意味合いで広く使われ、多くの人に親しまれたのです。
ゲス不倫
この言葉は、芸能人の不倫騒動を報じる際に頻繁に使われ、大きな話題となりました。「ゲス」という言葉が持つネガティブなニュアンスが、不倫という行為をより際立たせる効果を持ち、人々の関心を強く惹きつけたと言えるでしょう。この言葉の流行は、倫理観や道徳観といったものについて、改めて考えさせられるきっかけになったかもしれません。
SMAP解散
国民的アイドルグループSMAPの解散は、日本中を大きな悲しみに包みました。長年にわたり日本のエンターテイメント界を牽引してきた彼らの解散は、多くのファンにとって衝撃的な出来事であり、インターネット上でも様々なコメントや憶測が飛び交いました。このSMAP解散は、一つの時代の終わりを象徴する出来事として、多くの人々の記憶に残っていることでしょう。
君の名は。
新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」は大ヒットを記録し、社会現象となりました。美しい映像と心に響くストーリーは、多くの観客を魅了し、映画館には連日長蛇の列ができました。「君の名は。」というタイトル自体も、多くの人の記憶に残る言葉となりました。この映画の大ヒットは、アニメーション作品が幅広い層に受け入れられることを改めて示したと言えるでしょう。
おそ松さん
テレビアニメ「おそ松さん」は、かつて人気を博したアニメ「おそ松くん」の大人になった姿を描いた作品です。個性豊かなキャラクターたちと、シュールでコミカルなストーリーは、若い世代を中心に大きな支持を集めました。「おそ松さん」というタイトルは、アニメファンだけでなく、広く一般の人々にも知られる言葉となりました。
歩きスマホ
スマートフォンが普及するにつれて、歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」をする人が増え、社会問題となりました。歩きスマホによる事故も多発し、危険性が広く認識されるようになりました。この言葉は、現代社会におけるスマートフォンの普及と、それに伴う問題点を象徴していると言えるでしょう。
まとめ
2016年のネット流行語を振り返ってみると、その年に起こった様々な出来事や社会現象が色濃く反映されていることが分かります。PPAPのようなエンターテイメントから生まれた言葉、ポケモンGOのような社会現象を象徴する言葉、保育園問題のような社会問題を浮き彫りにする言葉など、多岐に渡ります。これらの言葉は、当時の社会の空気感を伝えるとともに、後世にその時代を伝える貴重な記録とも言えるでしょう。これらの言葉を振り返ることで、私たちは過去を振り返り、未来を考えるヒントを得ることができるのではないでしょうか。そして、言葉は時代を映す鏡であり、その変化を追うことは、社会の変化を理解することに繋がるのかもしれません。