始まりの物語、そしてヒーローへの憧憬
『僕のヒーローアカデミア』、通称ヒロアカのアニメは、2016年春、日曜夕方5時という、かつて数々の名作アニメが放送されてきた枠で幕を開けました。当時、原作漫画は「週刊少年ジャンプ」で人気を博しており、アニメ化は多くのファンにとって待望の出来事でした。
物語の主人公は、緑谷出久、通称デク。彼は、人々を救ける「ヒーロー」に強い憧れを抱く少年でしたが、「個性」と呼ばれる超常能力を持たない「無個性」でした。しかし、憧れのヒーロー、オールマイトとの出会いが、彼の運命を大きく変えます。オールマイトから「個性」を受け継いだデクは、ヒーロー育成の名門、雄英高校に入学し、ヒーローを目指すことになります。
第1期では、デクがオールマイトから「ワン・フォー・オール」を受け継ぎ、雄英高校に入学するまで、そして、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をモチーフにした施設での敵(ヴィラン)襲撃事件までが描かれました。無個性だったデクが、ヒーローとしての第一歩を踏み出す姿は、多くの視聴者の心を掴みました。特に、USJでの戦いは、アニメーションの迫力と、キャラクターたちの熱い想いが合わさって、大きな話題を呼びました。
激闘の体育祭、そしてヒーロー殺しとの邂逅
続く第2期では、雄英高校の体育祭が舞台となります。生徒たちがそれぞれの「個性」を活かして競い合う姿は、見どころの一つです。デクと爆豪勝己の因縁、轟焦凍の過去など、キャラクターたちの背景が深く掘り下げられ、物語に深みが増しました。
体育祭後、デクはプロヒーローの下でインターン活動を行うことになります。そこで出会うのが、「ヒーロー殺し」の異名を持つステイン。彼の思想は、ヒーローとは何かという問いを視聴者に投げかけました。ステインとの戦いは、デクにとって大きな試練となり、彼の成長を促すきっかけとなります。
第2期では、米津玄師さんが歌うオープニングテーマ「ピースサイン」も大きな話題となりました。楽曲とアニメーションが見事に融合し、作品の世界観をより一層引き立てていました。
平和の象徴の終焉、そして新たな試練
第3期では、夏合宿での敵(ヴィラン)連合の襲撃、そして、オールマイトと宿敵オール・フォー・ワンの激闘が描かれます。長きに渡り平和の象徴として人々を支えてきたオールマイトが、その力を失うという展開は、視聴者に大きな衝撃を与えました。
オールマイトの引退後、ヒーロー社会は大きな転換期を迎えます。デクたちは、プロヒーロー仮免試験に挑み、更なる成長を遂げようとします。
この時期には、劇場版第1作『〜2人の英雄〜』が公開され、アニメの人気は最高潮に達しました。劇場版では、テレビアニメでは描かれなかった、デクとオールマイトの過去や、新たな敵(ヴィラン)との戦いが描かれ、多くのファンを魅了しました。
プロヒーローとしての自覚、そして新たなる脅威
第4期では、プロヒーローとしての活動が本格的に描かれます。デクは、サー・ナイトアイの下でインターン活動を行い、新たな力「エアフォース」を習得します。
オーバーホールとの戦いは、シリアスで重い展開が続きました。大切な人を守るために、デクたちは必死に戦います。この戦いを通して、デクはヒーローとしての覚悟をより一層強くします。
また、文化祭のエピソードでは、ジェントル・クリミナルという、これまでの敵(ヴィラン)とは異なるタイプの敵が登場し、物語に新たな彩りを加えました。
激化する戦い、そしてヒーローとは
第5期では、雄英高校ヒーロー科1年A組とB組の対抗戦が描かれました。それぞれのクラスが、切磋琢磨しながら成長していく姿は、青春群像劇としても見応えがあります。
その後、物語は敵(ヴィラン)側に焦点を当てた「僕のヴィランアカデミア」編へと突入します。死柄木弔の過去や、敵(ヴィラン)連合の結成秘話などが描かれ、ヒーローと敵(ヴィラン)の構図がより複雑になっていきます。
第6期では、ヒーローと敵(ヴィラン)の全面戦争が勃発します。激しい戦闘シーンが連続し、物語はクライマックスに向けて加速していきます。多くの犠牲を払いながらも、ヒーローたちは人々のために戦い続けます。この戦いを通して、ヒーローとは何かという問いが、改めて視聴者に突きつけられます。
第7期では、ついに最終決戦が描かれました。デクと死柄木弔の最後の戦いは、多くの視聴者の心を揺さぶりました。長きに渡る物語は、感動的な結末を迎えました。
ヒロアカのアニメは、デクの成長物語であると同時に、ヒーローとは何か、正義とは何かという普遍的なテーマを描いています。個性豊かなキャラクターたち、迫力のあるアクションシーン、そして、心に響くストーリーは、多くの人々の心を捉え、アニメ史にその名を刻みました。
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