1983年、昭和58年は、様々な出来事が日本列島を駆け巡った年でした。ロッキード事件の田中角栄元首相への実刑判決、東京ディズニーランドの開園、そして中曽根康弘内閣による行政改革の推進など、社会の大きな動きがありました。そんな時代を彩ったのが、人々の間で交わされた流行語です。言葉は時代を映す鏡と言いますが、当時の流行語を振り返ることで、その時代の空気や人々の関心が見えてくるのではないでしょうか。この記事では、1983年に話題となった流行語を10個選び、その背景や意味を解説していきます。
倫理、リンリ
ロッキード事件をめぐる政治倫理が大きな社会問題となっていた1983年。中曽根康弘首相が、国会で野党の追及に対し「倫理、リンリ」と答弁したことが、この言葉が流行するきっかけとなりました。まるで鈴虫の鳴き声のようだと揶揄されたこの言葉は、政治不信を象徴する言葉として広まりました。政治家の言葉が流行語になるというのは、当時の社会の関心の高さを物語っていると言えるでしょう。
すごいですネッ
フジテレビの人気番組「笑っていいとも!」で、タレントの所ジョージさんが広めたギャグです。大したことのないことでも大袈裟に褒めるときに使われ、特に若者の間で流行しました。「す」にアクセントを置いて話すのがポイントで、お茶の間を賑わせました。テレビ番組から生まれた流行語は、当時のテレビの影響力の大きさを表していると言えるでしょう。
ウニ
「混乱して、わけがわからなくなる状態」を表す若者言葉です。ウニが柔らかく、力を加えるとグチャグチャになってしまうことから、この言葉が使われるようになりました。現代でも使われることがあるこの言葉は、若者文化の一端を表していると言えるでしょう。
義理チョコ
バレンタインデーに、恋人や夫以外の男性に贈るチョコレートのことを指します。この習慣は1983年に定着したと言われており、現在でも広く行われています。義理チョコという言葉は、日本の独特な人間関係や習慣を表していると言えるかもしれません。
少し愛して、ながーく愛して
当時流行したCMのキャッチコピーです。耳に残るフレーズと、そのCMに出演していたタレントの人気も相まって、広く知られるようになりました。CMから生まれた流行語は、広告の力強さを物語っていると言えるでしょう。
におい付き消しゴム
カレー味やコーラ味など、様々な香りがついた消しゴムが子供たちの間で大流行しました。文房具に香りを付けるという斬新なアイデアは、子供たちの心を掴み、一大ブームを巻き起こしました。子供たちの間で流行したものは、その時代の子供文化を反映していると言えるでしょう。
オバン
流行に遅れた女性や、古臭い女性を指す若者言葉です。現代でも使われることがあるこの言葉は、若者特有の言葉遣いや価値観を表していると言えるでしょう。
ノーパン喫茶
ウェイトレスが下着を着用せずに接客する喫茶店のことです。1970年代後半から流行し、1983年頃には社会現象とも言えるほどの広がりを見せました。この言葉は、当時の社会の風俗や性に対する考え方を反映していると言えるかもしれません。
マイコン
「マイクロコンピュータ」の略で、パソコンのことを指します。1980年代に入り、家庭用パソコンが普及し始めたことで、この言葉も広く使われるようになりました。技術革新が社会に与える影響の大きさを表していると言えるでしょう。
ファミコン
「ファミリーコンピュータ」の略で、任天堂が発売した家庭用ゲーム機です。1983年に発売され、社会現象となるほどの大ヒットを記録しました。ゲームが家庭に浸透していくきっかけとなった出来事であり、その後のゲーム文化の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。
まとめ
1983年の流行語を見ていくと、政治、テレビ、若者文化、広告、技術革新など、様々な要素が反映されていることが分かります。言葉は時代を映す鏡です。当時の流行語を振り返ることで、その時代の空気や人々の関心、社会の動きが見えてきます。これらの言葉は、単なる一時的な流行ではなく、その時代を象徴する文化的な遺産と言えるのではないでしょうか。後年、これらの言葉を振り返ることで、当時の記憶が鮮やかに蘇るかもしれません。それは、過去と現在を繋ぐ大切な架け橋となるでしょう。言葉の力、そして時代の流れを感じさせてくれる、興味深い記録と言えるでしょう。