『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、1991年から1992年にかけて全13話でOVAとしてリリースされました。後に劇場版『機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光』として再編集され、OVA版とは異なる魅力を持つ作品として多くのファンを魅了しました。
物語の舞台は、宇宙世紀0083年。一年戦争終結から3年が経過し、地球連邦軍は戦力の再建を進めていました。そんな中、ジオン公国軍の残党勢力「デラーズ・フリート」が、極秘裏に開発されたガンダム試作2号機を強奪するという事件が発生します。
ガンダム試作2号機には、南極条約で禁止された戦術核が搭載されており、その奪還は連邦軍にとって至上命題となりました。この任務を負うことになったのが、強襲揚陸艦アルビオンに配属されたテストパイロットのコウ・ウラキ少尉です。彼は、ガンダム試作1号機に乗り込み、試作2号機を強奪したアナベル・ガトー少佐との激闘を繰り広げることになります。
魅力的なモビルスーツの数々
OVAというメディアの特性を活かし、テレビシリーズでは表現できなかったモビルスーツの精緻な描写は、当時のアニメファンに衝撃を与えました。
特に、河森正治氏がデザインを担当したガンダム試作1号機と2号機は、その後のガンダムシリーズのデザインにも大きな影響を与えたのではないでしょうか。ガンダム試作1号機は、ガンダムらしいトリコロールカラーとスタイリッシュなフォルムが特徴です。一方、ガンダム試作2号機は、重厚な装甲と武装を備えた重モビルスーツであり、その力強い姿は多くのファンを魅了しました。
また、カトキハジメ氏がデザインしたガンダム試作3号機デンドロビウムは、全長140メートルにも及ぶ巨大なモビルアーマーであり、その圧倒的な存在感は、観る者に強烈な印象を残しました。
戦争の悲惨さと人間の業を描く重厚なストーリー
一年戦争の終結から3年。戦争の傷跡が生々しい時代を舞台に、様々な思惑が交錯する中で、コウ・ウラキは試作2号機の奪還任務に挑みます。
デラーズ・フリートのアナベル・ガトー少佐は、一年戦争で「ソロモンの悪夢」と呼ばれたエースパイロットであり、ジオン再興の理想を胸に戦います。コウは、ガトーとの戦闘や様々な困難を通して、パイロットとして、そして人間として成長していくのです。
しかし、物語は単純な勧善懲悪ではありません。連邦軍内部の権力闘争や、デラーズ・フリート内部の対立、そしてシーマ・ガラハウ中佐率いる艦隊の裏切りなど、戦争の複雑な側面が描かれています。
豪華声優陣による熱演
堀川亮さん、大塚明夫さん、佐久間レイさんなど、実力派声優陣の熱演も、本作の魅力を引き立てています。
主人公コウ・ウラキを演じる堀川亮さんは、若さゆえの未熟さと成長していく姿を、繊細な演技で表現しています。
一方、ライバルであるアナベル・ガトーを演じる大塚明夫さんは、重厚な声でガトーのカリスマ性を見事に表現しています。
その他にも、サウス・バニング役の菅原正志さん、エイパー・シナプス役の大塚周夫さん、ニナ・パープルトン役の佐久間レイさんなど、個性豊かなキャラクターたちを、ベテラン声優陣が生き生きと演じています。
『0083』は、ガンダム史に刻まれた名作
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、ガンダムシリーズの中でも屈指の人気を誇る作品です。OVAというフォーマットで制作されたことで、高い作画クオリティと重厚なストーリーを実現し、多くのファンを魅了しました。
モビルスーツのデザイン、戦闘シーンの迫力、そして魅力的なキャラクターたちは、今なお多くのファンに愛されています。
また、本作は、後のガンダムシリーズ作品にも大きな影響を与えました。『機動戦士Ζガンダム』のストーリーに繋がる伏線が張られていたり、『ガンダムセンチネル』の設定が一部流用されていたりと、ガンダムシリーズ全体の中で重要な位置を占める作品と言えるでしょう。
当時、ビデオテープやレーザーディスクで発売されたOVAは、高価だったにも関わらず、多くのファンが購入しました。オリコンチャートで1位を獲得した回数もガンダムシリーズで最も多く、その人気の高さが伺えます。
近年では、Blu-ray BoxやDVD-BOXが発売され、HDリマスター化された高画質で作品を楽しむことができます。
『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』は、ガンダムシリーズの歴史に名を刻んだ名作OVAです。
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