恋する小惑星

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出会いと地学部の発足

物語は、幼い日にキャンプで出会った少年との、小惑星を発見し名前をつけるという約束から始まります。主人公の木ノ幡みらは、その約束を胸に星咲高校に入学。天文部に入部しようと意気揚々と部室に向かいますが、そこで知らされたのは天文部と地質研究会の合併。新たに「地学部」が発足したという事実でした。戸惑いながらも地学部の門を叩いたみらは、そこで運命の再会を果たします。幼い日に約束を交わした少年、真中あおと。しかし、あおは女の子だったのです。

この出会いは、みらにとって二重の驚きをもたらしました。男の子だと思っていた相手が女の子だったこと、そして、天文部がなくなってしまったこと。それでも、あおもまた、みらとの約束を大切に思っていたことを知ります。こうして、みらとあお、そして先輩たちとの地学部での活動が始まるのです。先輩部員は、天文班の森野真理(モンロー)、地質班の猪瀬舞(イノ)、桜井美景(桜)。個性豊かなメンバーが揃い、地学部は賑やかになっていきます。

当初、天文班と地質班はそれぞれの活動に知識や関心が薄く、どこかぎこちない雰囲気がありました。しかし、合同での活動を通して、互いの分野を教え合ううちに、徐々に打ち解けていきます。校外での実地調査、屋上での天体観測、合宿など、様々な経験を共有することで、絆を深めていくのです。みらの幼馴染である鈴矢萌(すず)や、姉の木ノ幡みさも、部員ではありませんが、みらを通して地学部の活動を支えていきます。特に、すずは持ち前の情報収集能力で地学部を助ける場面もありました。

みらとあおの入部動機を聞きそびれていた顧問の遠藤幸は、ある日、自身が学生時代に参加した天体発見のワークショップ「きら星チャレンジ」のことを思い出します。これがきっかけで、地学部は来年度の「きら星チャレンジ」参加を目指すという具体的な目標を得るのです。この目標が、地学部をさらに一つにまとめていく原動力となりました。当時、天文雑誌などを熱心に読んでいた天文ファンの中には、「きら星チャレンジ」というワードに懐かしさを覚えた人もいたのではないでしょうか。

文化祭と進路の悩み

文化祭に向けて、地学部は会報『KiRA KiRA』の発行に取り組みます。この会報を巡って、新聞部との間にちょっとした騒動が起こりますが、最終的には互いに協力し合う関係を築きます。文化祭では、前年度に羽目を外しすぎた天文部と、真面目すぎて人が寄り付かなかった地質研究会の反省を踏まえ、両方の要素をバランス良く取り入れた展示を行い、まずまずの成功を収めます。

しかし、文化祭が終わると、3年生の進路問題や、あおの家庭の事情など、少しずつ影が落ちてきます。あおは引っ越しのことを誰にも打ち明けられずに悩んでいました。最終的には、みさの計らいで、みさの大学進学後の部屋にあおが居候することになり、みらとあおの同居生活が始まります。この展開は、当時のファンの間でも話題となり、今後の展開への期待が高まりました。

あおの引っ越し問題は、地学部にとって大きな出来事でした。別れという可能性に直面し、改めて仲間との絆を大切に思うきっかけとなったのです。みさの優しさ、そしてそれを受け入れるあおの決断。それぞれの想いが交錯する、心温まるエピソードでした。

2年目と「きら星チャレンジ」への挑戦

2018年、みらとあおは高校2年生に進級。真理と桜が卒業し、地学部には新たなメンバーが加わります。気象学に関心を持つ七海悠(ナナ)と、桜の妹である桜井千景(チカ)。新たな風が吹き込む中、地学部は「きら星チャレンジ」への挑戦に向けて動き出します。

みらとあおは、小惑星発見という夢の実現に向けて、努力を重ねます。そして、「きら星チャレンジ」の書類選考の結果、みらは合格、あおは落選という結果になります。一緒に参加できないことに落ち込む二人でしたが、あきらめられないあおは、周囲に迷惑がかかることを承知の上で、単独で石垣島へ向かいます。このあおの行動力は、当時の視聴者にも大きなインパクトを与えたのではないでしょうか。

石垣島では、みらは他の参加者と交流を深め、あおは特例で見学者として参加を認められます。3日間の日程を通して、みらは自分たちの手が本物の小惑星に届いたという実感を得ます。そして、様々な分野の学問を内包する地学の可能性の広さと、小惑星を見つけるという目標を叶えた先にある自分自身の将来の夢について思いを巡らせるのです。

石垣島での経験と未来への展望

石垣島での経験は、みらとあおにとって大きな転機となりました。特に、みらは小惑星発見という目標を達成した先にある、自身の将来について真剣に考えるようになります。それは、単に小惑星を見つけるだけでなく、その先にある、自分が本当に何をしたいのか、という問いに向き合うことでした。

あおもまた、石垣島で得た経験を通して、天文学への想いを新たにします。みらと共に小惑星を見つけるという目標は、二人の間ではっきりと共有された、かけがえのないものとなりました。この経験を通して、二人の絆はさらに深まり、それぞれの夢に向かって進んでいく決意を新たにします。

「きら星チャレンジ」を通して、みらは多くのことを学びました。他の参加者との交流、本物の天体に触れた感動、そして、自分の将来について考えるきっかけ。これらの経験は、みらを大きく成長させました。あおの行動力、そしてそれを受け入れる周囲の温かさ。それらもまた、物語を彩る重要な要素でした。

地学部と仲間たちの絆

『恋する小惑星』は、単に地学を題材にしたアニメではありません。みらとあおの出会い、そして地学部の仲間たちとの交流を通して、夢を追いかけることの大切さ、仲間との絆の尊さを描いた作品です。個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間関係は、見ている人の心を温かくします。

地学部は、最初はぎこちなかったものの、様々な活動を通して、かけがえのない仲間たちの集まりへと変わっていきます。文化祭、合宿、そして「きら星チャレンジ」。これらの出来事を通して、彼らは互いを理解し、支え合い、成長していきます。特に、みらとあおの関係は、物語の中心となる軸であり、二人の成長を通して、友情や夢の大切さが描かれています。

この作品は、地学という少し難しいテーマを扱いながらも、誰もが共感できる青春物語として、多くの人に愛されました。夢を追いかけること、仲間と支え合うこと、そして、自分自身と向き合うこと。それらの普遍的なテーマが、この作品の魅力と言えるでしょう。当時のアニメファンは、この作品を通して、青春時代のきらめきを追体験したのではないでしょうか。

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