放送開始と初期の展開
2002年10月3日、『NARUTO -ナルト-』のアニメ放送がテレビ東京系列で開始されました。原作は『週刊少年ジャンプ』で連載中の岸本斉史による同名漫画です。制作はstudioぴえろが担当しました。放送開始当初は毎週木曜日18時30分からの放送でしたが、2003年4月からは水曜日の19時27分に時間帯が変更されています。この時間帯変更は、同じくジャンプ原作のアニメ『ヒカルの碁』の後番組として放送されることになったためです。
初期のストーリーは、主人公のうずまきナルトが忍者学校を卒業し、下忍として任務に挑む姿を描いていました。ナルト、うちはサスケ、春野サクラの三人一組のチーム、そして担当上忍のはたけカカシという、後の物語の核となるキャラクターたちが登場し、波の国での任務など、初期の重要なエピソードが描かれました。特に、強敵・桃地再不斬との激闘は、初期のハイライトの一つと言えるでしょう。この頃はまだ、ナルトのコミカルな部分が強調されており、子供向けの要素も強く、幅広い層に親しまれていました。
また、この頃はインターネット環境も現在とは異なり、動画配信サービスも今ほど普及していませんでした。そのため、テレビ放送をリアルタイムで視聴したり、録画して繰り返し見たりするのが主流でした。友達と学校でアニメの話をするのも、日常的な光景でした。
中忍試験と物語の転換
物語が中忍試験編に突入すると、物語はよりシリアスな展開を見せるようになります。中忍試験は、下忍たちが中忍への昇格をかけて競い合う試験ですが、その裏では大蛇丸による木ノ葉隠れの里への侵攻計画が進行していました。試験を通して、ナルトたちの成長が描かれるとともに、我愛羅など、個性豊かなライバルキャラクターたちが登場します。
中忍試験本選でのナルトと日向ネジの対決は、多くの視聴者の記憶に残っているでしょう。落ちこぼれと呼ばれていたナルトが、努力と根性で強敵に立ち向かう姿は、感動を呼びました。また、この頃から、アニメオリジナルの展開も増え始め、原作とは異なる物語の進み方に、賛否両論の声が上がっていたのも事実です。
この時期、アニメの主題歌も大きな話題となりました。FLOWの「GO!!!」は、その疾走感あふれるメロディーと力強い歌詞で、アニメファンのみならず、一般の音楽ファンからも支持を集め、オリコンチャート上位に入るほどのヒットを記録しました。アニメと音楽の相乗効果が注目され、アニソンというジャンルが広く認知されるきっかけの一つになったと言えるでしょう。
木ノ葉崩しとその後
中忍試験の最中に勃発した木ノ葉崩しは、物語の大きな転換点となりました。大蛇丸と砂隠れの里による木ノ葉隠れの里への侵攻は、多くの犠牲を出し、三代目火影・猿飛ヒルゼンの死という悲劇をもたらしました。この事件をきっかけに、物語はよりシリアスな展開へと進んでいきます。
木ノ葉崩し後、綱手が五代目火影に就任し、ナルトは自来也と共に修行の旅に出ます。この修行期間は、ナルトの成長を描く上で重要な期間であり、後の展開に繋がる伏線も多く張られました。また、この頃から、原作の画風の変化に合わせて、アニメの作画も変化が見られるようになります。線の簡略化と動きの重視は、賛否両論ありましたが、動画としてのクオリティを高めることに貢献しました。
この時期には、アニメオリジナルのエピソードも多く制作されました。原作ファンからは展開の遅延を懸念する声もありましたが、アニメ独自のキャラクターやエピソードを楽しんだファンも多く、特に原作で描かれなかったキャラクターにスポットが当たったエピソードは、アニメならではの魅力として評価されました。
オリジナルストーリーの展開と第一部完結
自来也との修行を終えたナルトは、さらに成長を遂げ、サスケとの再会を目指します。しかし、サスケは大蛇丸のもとへ去り、ナルトとの道は完全に分かれます。この頃から、アニメは原作第一部終了後、約85話にも及ぶオリジナルストーリーを展開することになります。
このオリジナルストーリーは、原作に追いついてしまうのを避けるため、また、原作で描かれなかったキャラクターに焦点を当てる目的がありました。このオリジナルストーリー期間は、アニメ独自の展開が繰り広げられた時期であり、賛否両論が巻き起こりました。しかし、この期間を通して、アニメ独自の魅力も多く生み出されたと言えるでしょう。
そして、ついにアニメは原作第一部の完結までを描き切ります。ナルトとサスケの最後の戦いは、第一部のクライマックスとして、多くの視聴者の心に深く刻まれました。この頃には、インターネット環境も整備され、ファンサイトや掲示板などで、アニメに関する熱い議論が交わされるようになりました。
『疾風伝』への移行とその後
2007年2月からは、続編となる『NARUTO -ナルト- 疾風伝』の放送が開始されます。キャラクターデザインの変更や、ストーリーのシリアス化など、様々な点で話題となりました。しかし、今回の記録はアニメ第一期(いわゆる少年編)に焦点を当てているため、『疾風伝』以降の展開については割愛させていただきます。
『NARUTO』のアニメは、放送当時、多くの子供たちや若者たちを魅了し、アニメ文化の一翼を担いました。その後のアニメ業界にも大きな影響を与え、今でも多くのファンに愛されています。
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