『SHIROBAKO』は、2014年10月から2015年3月まで放送されたオリジナルテレビアニメです。P.A.WORKSが制作し、水島努氏が監督を務めました。「働く女の子シリーズ」の第2弾として、アニメーション業界で働く人々の日常をリアルに、そして生き生きと描いています。
物語の舞台は、東京都武蔵野市にあるアニメ制作会社「武蔵野アニメーション」。略して「ムサニ」と呼ばれるこの会社で、元・上山高校アニメーション同好会の5人の女の子たちが、それぞれの夢に向かって奮闘します。
主人公の宮森あおいは、高校時代からの夢を叶え、ムサニで制作進行として働いています。明るく元気なムサニのムードメーカー的存在ですが、仕事となると新人ならではの失敗や苦労も経験します。それでも、持ち前の明るさと行動力で、周囲の人々の助けを借りながら、日々成長していく姿が描かれています。
あおいと同じくムサニで働く安原絵麻は、アニメーターを目指しています。真面目で努力家ですが、なかなか上達せず、自信を失ってしまうことも。それでも、先輩アニメーターの指導や同僚の励ましを受けながら、少しずつ成長していきます。
坂木しずかは、声優を目指してオーディションを受け続ける日々を送っています。なかなか役が決まらず、アルバイトをしながら夢を追いかける姿は、多くの人の共感を呼ぶのではないでしょうか。
藤堂美沙は、3DCGクリエイターとして働いています。最新技術を駆使してアニメーション制作に貢献する一方、手描きアニメーションへの憧れも抱いています。
今井みどりは、脚本家を目指して大学に通いながら、ムサニで設定制作のアルバイトをしています。豊富な知識と独特の感性で、アニメ制作に新たな視点をもたらします。
『SHIROBAKO』は、彼女たちの奮闘を通して、アニメーション制作の様々な工程や、そこで働く人々の想いを丁寧に描いています。アニメーター、制作進行、声優、3DCGクリエイター、脚本家など、それぞれの仕事内容や役割、そして喜びや苦労がリアルに伝わってきます。
ドーナツの誓い、そして夢の実現へ
高校時代、アニメーション同好会の5人は、卒業後も一緒にアニメを作ろうと「ドーナツの誓い」を立てました。しかし、それぞれの夢を追いかける中で、彼女たちは別々の道を歩むことになります。
それでも、彼女たちは心のどこかで「ドーナツの誓い」を忘れずにいました。そして、様々な困難や挫折を経験しながらも、それぞれの場所で成長を遂げていきます。
物語が進むにつれて、5人は再びアニメーション制作という共通の目標に向かって集結していきます。それぞれが自分の役割を果たし、力を合わせて作品を作り上げていく姿は、まさに「ドーナツの誓い」の成就と言えるでしょう。
『SHIROBAKO』は、夢に向かって努力することの大切さ、そして仲間と協力することの素晴らしさを教えてくれる作品です。
劇中劇「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」
『SHIROBAKO』では、ムサニが制作するアニメ作品が「劇中劇」として登場します。
前半では、アイドルが活躍するSF作品「えくそだすっ!」の制作が描かれます。キャラクターデザイン、作画、声優、3DCG、音楽など、アニメ制作の様々な工程が詳細に描かれており、視聴者はまるでムサニの一員になったかのような気分を味わえます。
後半では、人気漫画を原作とした「第三飛行少女隊」のアニメ化が描かれます。原作との兼ね合い、スケジュール調整、スタッフ間の衝突など、アニメ制作における様々な課題がリアルに描かれています。
これらの劇中劇は、本編のストーリーと密接に絡み合い、物語を盛り上げる重要な要素となっています。また、劇中劇の制作を通して、アニメーション制作の面白さや難しさ、そして奥深さが改めて浮き彫りになります。
個性豊かなキャラクターたち
『SHIROBAKO』には、5人の女の子たち以外にも、個性豊かなキャラクターたちが多数登場します。
ムサニの社長、丸川正人は、温厚で頼りになる存在です。アニメ制作のベテランであり、若いスタッフたちを優しく見守っています。
制作デスクの本田豊は、心配性で「万策尽きたー!」が口癖ですが、スタッフ思いの優しい上司です。
アニメーターの小笠原綸子は、常にゴスロリ服を着ている個性的な人物。作画の腕前は一流で、後輩の指導にも熱心です。
ベテランアニメーターの杉江茂は、昔気質の職人肌。若いアニメーターたちとは対照的な存在ですが、その実力は誰もが認めるものです。
個性豊かなキャラクターたちは、それぞれが重要な役割を果たし、物語を彩っています。
当時のアニメ業界を振り返って
『SHIROBAKO』は、2014年当時のアニメ業界の状況を反映した作品としても注目されました。デジタル作画の導入、制作進行の過酷な労働環境、声優人気の高まりなど、当時のアニメ業界を取り巻く様々な状況が描かれています。
放送当時は、アニメ業界で働く人々から「あるある」と共感の声が多く聞かれました。また、アニメファンからも、制作の裏側を知ることができて面白いという声が挙がっていました。
『SHIROBAKO』は、アニメーション制作の面白さ、難しさ、そして素晴らしさを改めて教えてくれる作品です。アニメ業界で働く人々の情熱や、作品に込められた想いが、画面を通して伝わってきます。
この記録を読んだ方が、当時を懐かしみ、『SHIROBAKO』の世界を再び楽しんでいただければ幸いです。
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