ジョースター家の血統と宿命の物語:ファントムブラッドと戦闘潮流
2012年、テレビアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』が放送開始されたことは、アニメファンにとって大きな出来事でした。それまでOVAや劇場版として映像化されてきた『ジョジョ』が、初めてテレビシリーズとして展開されることになったのです。この1st Seasonでは、原作のPart1『ファントムブラッド』とPart2『戦闘潮流』が描かれました。
『ファントムブラッド』は、ジョースター家の初代主人公ジョナサン・ジョースターと、宿敵ディオ・ブランドーの因縁の始まりを描いています。貴族の家に生まれたジョナサンと、貧しい育ちから成り上がろうとするディオ。二人の出会いから、壮絶な戦い、そして悲劇的な結末までが、重厚なドラマとして展開されました。特に、ディオが石仮面の力で吸血鬼と化し、ジョナサンとの激しい戦いを繰り広げるシーンは、多くの視聴者の記憶に残っているでしょう。
続く『戦闘潮流』では、ジョナサンの孫であるジョセフ・ジョースターが主人公となります。舞台は1930年代のアメリカ。ジョセフは、柱の男と呼ばれる古代の吸血鬼たちと戦うことになります。ジョセフの持ち味は、頭脳を駆使したトリッキーな戦い方。波紋という特殊な力と、持ち前の機転で敵を翻弄する姿は、従来の主人公像とは一線を画していました。シーザー・アントニオ・ツェペリとの友情、リサリサとの師弟関係など、人間ドラマも魅力の一つです。エンディングテーマにYESの「ROUNDABOUT」が使用されたことも、当時大きな話題となりました。この選曲は、原作者の荒木飛呂彦氏が執筆当時に聞いていた曲、あるいはその部のイメージに一番近い曲から選ばれており、過去のアニメ作品ではあまり見られない試みでした。
星の宿命を背負いし者たち:スターダストクルセイダース
2014年から2015年にかけて放送された2nd Season『スターダストクルセイダース』は、原作の中でも特に人気の高いPart3をアニメ化したものです。ジョセフの孫、空条承太郎を主人公に、DIOとの決着を描く壮大な物語が展開されました。
承太郎、ジョセフ、アヴドゥル、花京院、ポルナレフという個性豊かな仲間たちが、DIOを倒すためにエジプトを目指す旅路は、まさにロードムービーの様相を呈していました。スタンドと呼ばれる超能力が本格的に登場し、多彩な能力を持つ敵とのバトルは、見応え十分です。特に、花京院の「レロレロ」という独特な擬音や、ポルナレフの「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ」という台詞は、アニメ放送当時ネット上で大きな話題となり、アニメ流行語大賞を受賞するほどでした。
このシーズンでは、オープニングテーマも前期と後期で変更され、前期は「STAND PROUD」、後期は「ジョジョ その血の記憶〜end of THE WORLD〜」が使用されました。特に後期のオープニング映像では、DIOのスタンド「ザ・ワールド」の能力を表現した演出が話題を呼び、以降のシーズンでもオープニングに特殊な演出が組み込まれることが恒例となりました。
杜王町を舞台に繰り広げられる日常と異形の物語:ダイヤモンドは砕けない
2016年に放送された3rd Season『ダイヤモンドは砕けない』は、舞台を日本の杜王町に移し、東方仗助を主人公に、地域に潜むスタンド使いとの戦いを描いています。
仗助は、リーゼントヘアが特徴的な、優しくも熱い心を持つ高校生。彼のスタンド、クレイジー・ダイヤモンドは、壊れたものを直す能力を持ちます。この能力は、バトルだけでなく、日常生活でも活用され、物語に独特の雰囲気を加えています。吉良吉影という静かで狂気を秘めた敵役の存在も、この部の大きな魅力です。日常生活に潜む狂気というテーマは、視聴者に強い印象を与えました。
オープニングテーマは3クール全て異なり、「Crazy Noisy Bizarre Town」、「chase」、「Great Days」が使用されました。特に、「Great Days」は、最終話でJO☆UNITEDによるアレンジバージョンがエンディングで使用されるというサプライズもありました。また、このシーズンから次回予告がウェブ公開となり、テレビ放送ではタイトルのみの表示となったことも、当時変化として認識されました。
黄金の精神を胸に:黄金の風
2018年から2019年にかけて放送された4th Season『黄金の風』は、ジョルノ・ジョバァーナを主人公に、イタリアを舞台としたギャング組織内部の抗争を描いています。
ジョルノは、ジョースター家の宿敵DIOの息子でありながら、人々を救うという強い意志を持っています。彼のスタンド、ゴールド・エクスペリエンスは、生命を与える能力を持ち、物語が進むにつれてその能力は進化していきます。ブチャラティをはじめとする仲間たちとの絆、敵との激しい頭脳戦、そしてジョルノの成長が、見どころです。
このシーズンでは、オープニングテーマが前期と後期で変更され、前期は「Fighting Gold」、後期は「裏切り者のレクイエム」が使用されました。特に後期のオープニング映像では、ディアボロの「キング・クリムゾン」の能力を表現した演出や、最終話でのジョルノの「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」の能力を表現した演出が話題となりました。エンディングテーマにJodeciの「Freek’n You」が起用されたことも、当時大きな反響を呼びました。
血脈の終着点:ストーンオーシャン
2021年から2023年にかけて放送された5th Season『ストーンオーシャン』は、シリーズ初の女性主人公、空条徐倫を主人公に、アメリカの刑務所を舞台とした物語が展開されました。
承太郎の娘である徐倫は、罠に嵌められ刑務所に収監されてしまいます。そこで出会う仲間たちと共に、父を救うため、そして自身の自由を求めて戦います。プッチ神父という強力な敵との戦いは、シリーズの集大成とも言える壮大なスケールで描かれました。
このシーズンでは、オープニングテーマは前期と後期で変更され、前期は「STONE OCEAN」、後期は「Heaven’s falling down」が使用されました。特に前期のオープニング映像は、1st Season以来7年ぶりに神風動画が担当し、話題となりました。最終話では、歴代主人公が登場する特殊演出が施され、シリーズの完結を印象付けました。エンディングテーマにDuffyの「Distant Dreamer」が起用されたことも、大きな話題となりました。
これらの記録を通して、アニメ『ジョジョの奇妙な冒険』の軌跡を振り返ることができたでしょうか。各部で異なる舞台、主人公、物語、そして音楽。それらが組み合わさることで、『ジョジョ』は唯一無二の作品として、多くの人々の心に刻まれているのです。
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