物語の始まりとサツキとメイの出会い
昭和30年代の日本。草壁家の姉妹、サツキとメイは、病気の母親の療養のために、父親と共に田舎の一軒家に引っ越してきました。都会の喧騒から離れた、緑豊かな自然に囲まれた場所で、新しい生活が始まります。
活発でしっかり者の姉サツキと、好奇心旺盛な妹メイ。二人は、古びた家や、その周りにある森を探検したり、近所の子どもたちと遊んだりしながら、田舎暮らしを満喫していきます。しかし、慣れない環境での生活は、幼いメイにとっては不安も大きかったのかもしれません。そんな中、メイは庭で不思議な生き物に出会うのです。それは、まっくろくろすけと呼ばれる、小さな黒い生き物でした。
メイはまっくろくろすけを追いかけて、森の奥深くへと入っていきます。そして、そこで大きなクスノキの根元に、巨大な生き物「トトロ」と出会うのでした。大きなお腹と、優しい笑顔が印象的なトトロ。メイはすぐにトトロと仲良くなり、一緒に遊ぶようになります。
この出会いは、サツキとメイの姉妹にとって、忘れられない夏の始まりを告げるものでした。トトロとの出会いは、姉妹に、自然の神秘、そして、想像することの素晴らしさを教えてくれることになるでしょう。
トトロとの不思議な体験
メイからトトロの話を聞いたサツキも、やがてトトロと出会うことになります。雨上がりのバス停で、父親を待つ間、サツキは大きな傘を差し出すトトロの姿を目にするのです。
その夜、サツキとメイは、トトロと一緒に、空を飛ぶネコバスに乗るという、夢のような体験をします。ネコバスは、トトロだけが乗ることのできる、特別な乗り物です。ふわふわとした毛並みと、大きな目、そして、自由に空を駆け巡る姿は、子どもたちの心を掴んで離しません。
また、ある夜には、サツキとメイは、トトロと一緒に、庭でどんぐりの木を育てる魔法を体験します。小さな芽が、みるみるうちに大きな木へと成長していく様子は、生命の力強さを感じさせる、感動的なシーンです。
トトロとの不思議な体験を通して、サツキとメイは、自然の豊かさ、そして、目に見えないものの存在を感じ取っていくのでした。
魅力的なキャラクターたち
「となりのトトロ」には、サツキとメイ、そしてトトロ以外にも、魅力的なキャラクターが登場します。
- 草壁タツオ: サツキとメイの父親。大学で考古学を研究している、穏やかで優しい人物です。
- 草壁ヤス子: サツキとメイの母親。体が弱く、病院で療養しています。
- カンタ: サツキたちの家の隣に住む少年。最初はサツキに冷たく当たりますが、次第に心を開いていきます。
- カンタのおばあちゃん: カンタの祖母。サツキとメイの面倒をよく見てくれる、親切なおばあちゃんです。
これらの個性豊かなキャラクターたちが織りなす人間模様も、「となりのトトロ」の魅力の一つと言えるでしょう。
心に残る名シーンの数々
「となりのトトロ」には、多くの心に残る名シーンがあります。
- 雨上がりのバス停: サツキがトトロと初めて出会うシーン。トトロに傘を貸してあげるサツキの優しさが印象的です。
- メイの迷子: メイが母親に会いたい一心で、一人で病院へ向かう途中、迷子になってしまうシーン。ハラハラドキドキしながらも、メイの健気な姿に心を打たれます。
- 病院へのトウモロコシの届け物: トトロの助けを借りて、サツキとメイが母親にトウモロコシを届けるシーン。家族の温かい愛情を感じさせる感動的なシーンです。
- ネコバスでの空の旅: サツキとメイがトトロと一緒に、夜空を駆け巡るシーン。幻想的で、夢のようなシーンです。
- エンディング: サツキとメイが、トトロや森の仲間たちに見守られながら、元気に遊ぶシーン。希望に満ちた未来を感じさせる、温かい気持ちになれるシーンです。
これらの名シーンは、きっと多くの人の記憶に刻まれているのではないでしょうか。
時代を超えて愛される名作
「となりのトトロ」は、1988年の公開当時、子ども向けアニメ映画の枠を超えた作品として、大きな話題を呼びました。
映画館では、「火垂るの墓」と同時上映され、多くの人々に衝撃を与えたことも記憶に新しいです。宮崎駿監督の描く、自然豊かな風景描写や、個性豊かなキャラクターたちは、観る人の心を掴み、今もなお多くの人々に愛されています。
トトロのキャラクターは、ぬいぐるみや文房具など、様々なグッズが販売され、当時の子どもたちの間で大人気となりました。主題歌「となりのトトロ」も、世代を超えて歌い継がれる名曲となり、多くの人々に親しまれています。
「となりのトトロ」は、単なるアニメ映画ではなく、日本の文化の一つとして、確固たる地位を築いていると言えるでしょう。
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