2011年は、東日本大震災という未曾有の災害に見舞われた年であり、社会全体が大きな悲しみと不安に包まれました。しかし、インターネット上では、困難な状況を乗り越えようとする人々の力強い意志や、ささやかな日常の喜びを分かち合おうとする温かい気持ちが、様々な言葉を通して表現されました。この記事では、そんな2011年のネット流行語の中から特に話題になった10個の言葉を選び、当時の状況や背景とともに解説していきます。これらの言葉を振り返ることで、当時の出来事を追体験し、記憶を新たにする一助となれば幸いです。
ポポポポ~ン
2011年のネット流行語大賞で金賞に輝いたのは、ACジャパンのCM「あいさつの魔法。」で使用された「ポポポポ~ン」です。このCMは、子供たちが様々な挨拶の言葉を歌いながら踊るという内容で、「おはようポポポポ~ン」「ありがとうポポポポ~ン」など、リズミカルで可愛らしいフレーズが多くの人々の耳に残りました。震災後、暗いニュースが多い中で、このCMの明るい雰囲気は多くの人々に癒しを与え、幅広い世代に親しまれるようになりました。この言葉は、子供たちの間だけでなく、大人たちの間でも挨拶代わりに使われるなど、社会現象とも言えるほどの流行を見せました。
なでしこJAPAN
銀賞を受賞したのは、サッカー女子日本代表の愛称「なでしこJAPAN」です。同年、FIFA女子ワールドカップで初優勝という快挙を成し遂げた彼女たちの活躍は、日本中を熱狂の渦に巻き込みました。困難な状況の中で、ひたむきに戦う彼女たちの姿は、多くの人々に勇気と希望を与え、まさに国民的ヒロインと言える存在となりました。この言葉は、スポーツの枠を超え、日本全体を象徴する言葉として広く浸透しました。
僕と契約して、◯◯になってよ!
銅賞に選ばれたのは、人気アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の劇中で登場する台詞「僕と契約して、魔法少女になってよ!」を変化させた「僕と契約して、◯◯になってよ!」です。このアニメは、可愛らしい絵柄とは裏腹に、シリアスで重厚なストーリー展開が話題となり、多くのファンを獲得しました。特に、この台詞は、様々なシチュエーションでパロディとして使用され、ネット上で大きな流行を見せました。
マル・マル・モリ・モリ!
子供向けドラマ「マルモのおきて」の主題歌「マル・マル・モリ・モリ!」も、2011年を代表する流行語の一つです。芦田愛菜と鈴木福という子役二人が歌い踊る姿は、多くの視聴者の心を掴み、子供から大人まで幅広い世代に愛されました。この曲は、幼稚園や学校で運動会などで使用されるなど、社会現象となりました。
ヤシマ作戦
「ヤシマ作戦」は、人気アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する作戦名です。2011年は、東日本大震災の影響で電力供給が不安定になり、計画停電が実施されました。この状況が、作中で大規模な電力供給作戦である「ヤシマ作戦」と重ねられ、ネット上で話題となりました。この言葉は、困難な状況を乗り越えようとする人々の連帯感やユーモアを表現する言葉として広まりました。
いいね!
Facebookの「いいね!」ボタンも、2011年に広く浸透した言葉の一つです。共感や賛同を示す手軽な方法として、多くの人々が日常的に使用するようになりました。この言葉は、インターネット上だけでなく、日常会話でも使われるようになり、コミュニケーションの新しい形を象徴する言葉となりました。
#edano_nero(枝野、寝ろ)
東日本大震災発生当時、官房長官として連日記者会見に臨んでいた枝野幸男氏に対し、ネット上で「#edano_nero(枝野、寝ろ)」というハッシュタグが広まりました。これは、不眠不休で対応にあたる枝野氏を心配する声と、政府の対応に対する批判的な意見が混在した形で広まったものと言えるでしょう。
ダァシエリイェス!!
プロ野球選手であるダルビッシュ有投手の発言「ダァシエリイェス!!」も、ネット上で話題となりました。これは、試合後のインタビューで興奮気味に発した言葉で、その独特な言い回しが多くの人々の印象に残りました。この言葉は、喜びや興奮を表す言葉として、ネット上で広く使用されました。
ブヒる
「ブヒる」は、アニメや漫画の女性キャラクターに対して強い好意や興奮を示すネットスラングです。2011年頃から広く使われるようになり、オタク文化を象徴する言葉の一つとして定着しました。
アナロ熊
「アナロ熊」は、地上デジタル放送への移行をPRするために登場したキャラクターです。アナログ放送終了までのカウントダウンを表示する役割を担い、その愛らしい姿で多くの人々に親しまれました。
まとめ
2011年は、東日本大震災という大きな出来事があり、社会全体が大きな変化を経験しました。インターネット上では、困難な状況を乗り越えようとする人々の力強い意志や、ささやかな日常の喜びを分かち合おうとする温かい気持ちが、様々な言葉を通して表現されました。今回紹介した10個の言葉は、当時の社会状況や人々の感情を反映しており、時代を映す鏡と言えるでしょう。これらの言葉を振り返ることで、当時の出来事を追体験し、記憶を新たにするだけでなく、インターネットという空間が、時代とともにどのように変化していくのかを考えるきっかけになるかもしれません。言葉は時代を映し、時代は言葉を創ります。過去の流行語を振り返ることは、過去を振り返るだけでなく、未来を考えるヒントにもなるのではないでしょうか。